餡(あん)づくりのお話 

「あずき」は甘味の一番大事な素材として自分の目で見て、触って、五感を使って良い地域(北海道十勝)の最良のものを厳選して用いております。


当店の「餡(あん)」づくりは、まず一粒一粒「あずき」を選別することから作業を始めます。業者の機械選別の精度も上がり、昔と違って「あずき」の選別作業は必要ないと言われるかもしれませんが、少しでもより美味しいものを作りたいという思いから手作業での選別は、今でも欠かせない作業です。


西山家では、昔から忙しい時期など、それこそ一家総出で選別作業をして来ました。私も子供の頃から大人に交じって、手伝いをしました。子供達はすぐにコツを覚え、ほめられると嬉しいものですから夢中になって豆を選んだものです。

次に選別された「あずき」を水で良く洗い、水につけ、煮始めます。この時使うのが「さわり」という銅製の大きな鍋です。銅製の鍋は熱伝導率が非常に高く均一に熱が伝わるのでおいしい「餡(あん)」を作るのに最適な道具です。そして、美味しい和菓子つくりに欠かせない大切な道具です。

先代の父は、自分と私以外の者には、この鍋を触らせませんでした。私が休みの日、出掛けて遅く帰って来ても、鍋はそのままになっていて、洗浄と片付けの仕事は取ってありました。その仕事を片付けるのに夜遅くまでかかり、そのときは父をうらみ、納得が行きませんでした。しかし今想えば、先代の「道具を大切に使い、責任を持って管理しなさい」というメッセージだったのでしょう。


「渋抜き」というあくを取る作業は、今でも竹ざるで行なっています。途中で砂糖を加え、木へらを使い手作業で8時間ほど煮ます。しかしそれで完成ではなく、冷まして寝かして、また煮ます。それではじめて、角のないやさしくまろやかな「甘味処 西山」の「餡(あん)」になります。 

 

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